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 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会は27日の会合で、医療提供体制の改革について議論した。この中で財務省は、団塊世代が75歳以上になる2025年に向けて在宅医療などの対象患者の受け皿を準備するため、対応する医療機関や介護施設などを整備する方針などを自治体が検討する仕組みづくりを提案した。【佐藤貴彦】

 25年に向けて医療提供体制を整備するため、各都道府県が、地域ごとの将来の需要に見合った病床数などを定める「地域医療構想」の策定作業を進めている。同構想には、高度急性期と急性期、回復期、慢性期の4つの機能ごとに病床数を整備していくことで、今より効率的に医療を提供できるようにする狙いもある。また病床数の必要量は、入院しないで自宅などで治療を受ける患者の増加を見込んで推計している。今年度末までに全都道府県で策定される見込みだ。

 財務省はこの日の会合で、同構想が見込む在宅医療などを受ける患者の増加に対応するため、在宅医療を提供する医療機関や介護施設、高齢者住宅などの見通しを立て、整備を進める必要があると指摘。そうした患者の受け皿の整備方針などを、都道府県と市町村が調整・検討すべきだとした。

■知事の医療保険上の権限強化なども提案

 さらに、地域医療構想の実現に向け、医療機関同士の協議を進めるための制度改革も提案した。

 将来を見据えた病院の機能の転換は、自主的に進められるのが原則だが、話し合いで転換が進まない場合、都道府県知事が指示し、公立病院などの医療機関に転換を促すことができるルールになっている。しかし、医療法人などが運営する民間の医療機関には指示ができない。

 財務省は、民間医療機関に転換を命令できるように、都道府県の医療保険上の権限を強化すべきだとした。

 また、医療機関で実施されている診療行為のデータを病棟ごとに分析し、各機能の「定量的」な基準を定めることも提案した。

 そのほか、地域医療構想を踏まえた医師の需給のあり方にも言及。働く地域や診療科の偏在を是正するために都道府県の権限を強化し、保険医の定数設定といった「実効的な対策」を講じられるようにすべきだとした。

■在宅医療増やす政策、医療費への影響は?

 会合は非公開で行われたが、終了後に記者会見した吉川洋分科会長(立正大経済学部教授)は、都道府県の権限を強化する財務省案に賛同する委員がいたことを明らかにした。

 また委員から、在宅医療を受ける患者を増やす政策が医療費全体に及ぼす影響が明確でないと問題視する声が上がったことも紹介した。



引用:在宅医療の受け皿整備、自治体が方針検討を-財政審分科会で財務省


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